「この低成長の時代・不安定な時代においては、会社に何があっても自分の力で生きられるように、手に職をつけることが大切だ」
あちらこちらで、こういった意見を目に耳にすることが多くなってきました。確かにそうだなと思います。ただ、誤解を産む懸念があるとも思います。
手に職がつく仕事とは?
手に職がつく仕事とは…
- 専門性が高い仕事
- 年収を上げていける仕事
- 熟練を必要とする仕事
抽象的にはこういった仕事なのだと思われますが、具体的にどんな仕事なのでしょうか。幾つかの意見を見てみたいと思います。
大学教授:手に職をつけたいのなら君の専攻だとメーカーの研究開発職だね。
お父さん:手に職なら営業だろ! 営業一筋30年の先輩を信じろ!
大学の先輩:手に職をつけたい? そうだなぁ、俺マーケターだから分かるんだけど、これからはマーケティングが必須よ、必須。
資格スクール:手に職をつけたいのですか? それなら資格が活きる仕事が一番ですよ。
Youtuber:手に職をつけたいのであればプログラミングの仕事一択だね。プログラミング最強。
このように、人はポジショントークをしたがる傾向があるので「手に職がつく仕事」の答えを他人に求めるのは割と危険です。「手に職がつく仕事」につきたいと思うなら、自分で考えることが何よりも大切です。
手に職がつく仕事に就けたとしても、その仕事で頑張れなければ意味がない
自分で「手に職がつく仕事」を考える上で、仕事(職業や職種、仕事内容)にフォーカスしすぎるのは危険です。
手に職がつく仕事に就けたとしても、その仕事で頑張れなければ意味がありません。
「手に職がつく仕事はどんな仕事だろうか?」と考えることと並行して、「自分はどんな組織(仕事をする環境)であれば頑張れるのか?」と考えることをおすすめします。
突然ですが、大学受験(または高校の期末試験)のことを思い出してみましょう。あの時、自分が頑張れたのはなぜだろうか?
その理由を振り返ってみると…
- 塾に通っていた講師との相性が良かった
- 1人部屋になって勉強に集中できた
- 強烈に意識している競争相手がいた
- 成績が上がれば小遣いが増える約束をしていた
- 親や家庭教師の指導が厳しかった
こういった、自分の頑張りを支えた環境・自分が頑張ることのできる環境が見えてくるはず。これは仕事で手に職をつけていく上でも同じ話。
組織(仕事をする環境)を分析して自分が頑張ることのできる組織を選ぶこと。そして、その組織で頑張り続けることの延長線上に手に職がつくのです。
<組織(仕事をする環境)の例>
- 自分より優秀と思える社員が多い組織
- 頑張るための分かりやすいインセンティブがある組織
- どういった人が評価されるのかが明確である組織
- 縦(上司と部下)だけでなく、横(同期)やナナメ(他部署の社員)の関係性が強い組織
- 主体性を重んじ、失敗を歓迎・許容する組織
最後に。
手に職をつけたいという考えは自分視点に他なりません。働くということは誰かの役に立つこと。会社の利益に貢献することです。
「手に職つけたい!」と自分のことを考えるのは健全で好ましいことですが、一方では、会社視点に立って「自分はどのような貢献ができるのか?(何が得意なのか?)」も考えてみる。
そういったバランスをとった考え方がベースにあってこそ、真に手に職がつくようになるのだと私は強く思います。
執筆者はこの人!

自動車メーカーの社内SE→人材紹介会社の法人営業→就活支援会社の事業企画・メディア運営→独立。ニャンキャリアを運営。Twitterはこちら。
公開日 2019-08-20 最終更新日 2023-07-23