【就活】企業選びの軸(就活の軸)を考える3つの視点と7つの質問

企業選びの軸(就活の軸)をどのように考えれば良いのか分からない。

そんな人向けに、就活における企業選びの軸をバランス良く・総合的に考えるための3つの視点と7つの質問をご紹介します。

企業選びの軸(就活の軸)を考えるポイント

企業選びの軸(就活の軸)とは、その名の通り、企業を選ぶ軸となるもの=企業選びの条件を意味しています。Google検索で情報を探す際の「検索条件(キーワード)」のようなものです。

そして、企業選びの軸を考えるポイントは、その企業選びの軸が使えるかどうかということです。

<例題>
以下の企業選びの軸のどちらが使えると思いますか?

  1. 企業選びの軸:社会貢献している企業
  2. 企業選びの軸:社会課題の解決に関連する事業

1番の「社会貢献している企業」という企業選びの軸は表現が抽象的過ぎるので企業を選ぶことができません(企業は社会への何かしらの価値提供を通じて売上を得ているので、全ての企業が社会貢献しているという解釈が成立します)。

一方、2番の「社会課題の解決に関連する事業」企業選びの軸は具体的であり、企業を選ぶことができます(近年はベンチャー企業を中心に社会課題の解決に挑戦する事業が増えています)。このように、企業選びの軸は使えることに意味があるので具体性のある内容を考える必要があります。

企業選びの軸(就活の軸)が志望動機を作る

志望動機を作るのは企業選びの軸(就活の軸)です。まずは志望動機の例をご覧ください。

<志望動機の例>
貴社の途上国の貧困問題解決に貢献するフェアトレード事業が「社会課題の解決に関連する事業に挑戦したい」という私の企業選びの軸と一致することが志望理由です。私は大学時代のボランティア活動を通じて、ビジネスの枠組みの中でこそ、持続的な社会課題解決のアプローチを取り得ると思い至り、このような軸を重視しています。

上記の例のように、志望動機は「私の企業選びの軸と一致するから貴社を志望しました」というフォーマットでの説明が可能です。企業選びの軸が志望動機を作るのです。

※志望動機の書き方や伝え方については、以下の参考情報をご覧ください。

<参考情報>
【就活】志望動機の書き方・伝え方の教科書

企業選びの軸(就活の軸)は複数考えるべき

企業選びの軸(就活の軸)は1つに絞る必要はありません。むしろ、2つ3つと複数考えるべきです。

なぜなら、企業選びの軸を複数用意しておくことで、志望企業に合わせた志望動機を語ることができるようになるからです。

例えば、あなたの企業選びの軸がABCDEFの6つある場合、志望企業X社に対してはABCの企業選びの軸を元に志望動機を語り、志望企業Y社に対してはAEFの企業選びの軸を元にした志望動機を語る、という具合に、企業に合わせた志望動機を語ることができます。

就活は、自分が好きになった企業から好きになってもらう必要があります。両想いでマッチングが成立する以上は、企業の好み=求める人材像に合うような、企業選びの軸の組合せで志望動機を語ることがおすすめです。

ちなみに、志望企業に好かれたいがために自分の企業選びの軸を偽造することはおすすめしません。あくまでも、自身の本心から考えた企業選びの軸の範囲で組合せを考えましょう。

さて、ここからは企業選びの軸を複数考える上で役立つ考え方をご紹介します。

企業選びの軸(就活の軸)を考える3つの視点と7つの質問

ビジネスを成功させるためには、多角的な視点で物事を捉えることが必要であり、それらの視点は「虫の目・鳥の目・魚の目」であると語られています。

虫の目は、小さな虫の目のように、目の前の物事を細かくみる視点。ミクロ視点・現場の視点・仕事の視点です。

鳥の目は、大空を羽ばたく鳥のように、高い位置から俯瞰的に観察する視点。マクロ視点・現場を指揮するマネジメントの視点・組織の視点です。

魚の目は、水の流れの変化を見極める魚のように、時流を読む視点。トレンド視点・事業全体の舵取りをする経営者の視点・事業の視点です。

これらの3つの視点は、就活にも応用可能です。

就活を成功させるためには、多角的な視点で企業選びの軸(就活の軸)をバランス良く・総合的に考えることが必要です。これからご紹介する3つの視点に基づく7つの質問に向き合ってみましょう。

視点1: 虫の目(仕事の視点)

虫の目は仕事の視点(仕事を細かく見る目)です。仕事に関する企業選びの軸(就活の軸)を考えるための質問に向き合ってみましょう。

質問1:やりたいことは何ですか?

やりたいことは「●●な仕事」という表現で考えましょう。

<例>

  • 裁量の大きい仕事
  • チームワークが求められる仕事
  • 達成感を得やすい仕事

やりたいことが思い浮かばない人は、以下の問いに答えてみましょう。できるだけ掘り下げて考えることが大切です。

<問い>
何かを頑張る上で、どんな欲求が自身の頑張りを支えていますか?(例:達成欲求、承認欲求、権力欲求、成長欲求など)

<回答例>

  • 目標を達成することがモチベショーンになっていたので、仕事において達成感を得たい(達成感を得やすい仕事をしたい)
  • 売上数値のような定量的な目標を追う仕事の方が達成度合いが明確でやる気が湧く(定量的な目標にコミットする仕事をしたい)

企業選びの軸は具体性が重要なので「達成感を得やすい仕事」より「定量的な目標にコミットする仕事」の方が好ましいです。

質問2:得意なことは何ですか?

得意なことも「●●な仕事」という表現で考えましょう。

<例>

  • 思考力が重視される仕事
  • 行動力が求められる仕事
  • 創意工夫が必要な仕事

得意なことは自己PRの強みと一緒で構いません。自己PRでリーダーシップを強みにしている場合の企業選びの軸は「リーダーシップを発揮できる仕事」となります。

※自己PRについては、以下の参考情報をご覧ください。

<参考情報>
【就活】自己PRと学生時代頑張ったこと(ガクチカ)で高評価を得られる秘密のレシピ

質問3:やることに意味を感じられることは何ですか?

やることに意味を感じられることも「●●な仕事」という表現で考えましょう。

質問1の「やりたいことは何ですか?」は自分中心の考え方でOKですが、質問3の「やることに意味を感じられることは何ですか?」は社会中心の考え方が必要です。以下のヒントを参考にしながら「仕事を通じて社会にどんな価値を提供したいか?」の問いの答えを考えてみましょう。

<ヒント>

  • 仕事を通じて誰のどんな課題を解決したいと思うか?
  • 世の中の不満を解消すること(マイナスをゼロにする方向性の仕事)と世の中を便利にすること(ゼロをプラスにする方向性の仕事)のどちらに惹かれるか?

視点2: 鳥の目(組織の視点)

鳥の目は組織の視点(仕事をする環境を見る目)です。組織に関する企業選びの軸(就活の軸)を考えるための質問に向き合ってみましょう。

質問4:どんな組織制度が働きやすいですか?

組織制度を考える軸を参考に、どんな組織制度が働きやすそうかを考えてみましょう。

<組織制度を考える軸>

  • 事業推進スタイル:トップダウンが良い? ボトムアップが良い?
  • 評価制度:どのような仕組みの元で評価されたいか?
  • 昇進昇格ルール:年功序列が良い? 成果重視が良い?
  • 福利厚生制度:どんな福利厚生の制度があると良いか?

質問5:どんな組織風土が合っていますか?

組織風土を考える軸を参考に、どんな組織風土が合っていそうかを考えてみましょう。

<組織風土を考える軸>

  • 企業文化:どんなミッションやバリューに共感できる?
  • 上下関係:軍隊的な関係が良い? サークル的な関係が良い?
  • 組織内の交流:公私混同が良い? 仕事とプライベートは分けたい?

視点3:魚の目(事業の視点)

魚の目は事業の視点(事業の将来性を見る目)です。事業に関する企業選びの軸(就活の軸)を考えるための質問に向き合ってみましょう。

質問6:どんな事業に将来性を感じますか?

事業の将来性を考える軸を参考に、どんな事業に将来性を感じるかを考えましょう。

<事業の将来性を考える軸>

  • マーケットの状況:その事業のマーケットはどういう状況にあるのか?(成長、停滞、衰退)
  • 事業の競争優位性:その事業は競合他社に比べて何がどう優れているのか?
  • 事業のポートフォリオ:利益を得る既存事業とは別に、将来の利益創出を担う新規事業への投資をしているのか?
  • 事業の意義:数字の話は抜きにして、どんな事業に意義を感じられるのか?

質問7:どんな経営者が信頼できますか?

経営者の手腕は、事業の将来を大きく左右します。信頼できる経営者を考える軸を参考にしながら、どんな経営者が信頼できるのかを考えてみましょう。

<信頼できる経営者を考える軸>

  • 夢や目標:売上利益という数字以外に、どんな夢や目標を持っているのか?
  • 信念や想い:どんな信念や想いを持っているのか?
  • 人柄:誠実さや謙虚さを忘れていないか?
  • 論理性:事業を成功させるための戦略やロジックを持っているのか?
  • 支持率:社員から支持されているのか?
  • 経歴や実績:現在の事業領域での経験や実績があるのか?

まとめ

企業というものは、それを見る視点によって、様々な見え方が存在する多面体です。

これから出会う、もしくはすでに出会った企業に対して「うわぁ、この会社は素敵だなぁ」と思うのは素晴らしいことですが、その素晴らしいと思う理由を言語化した際に、それが1つの視点に偏ったものであれば、別の視点から違う面を見ることをお勧めします。

そのための3つの視点と7つの問いです。

最後に。

7つの問いは、全て主語が欠けていますので、各問いの冒頭に「自分にとって」という言葉を足していただければと思います。間違っても「他人にとって」という言葉を足さないように気を付けましょう。

<真・7つの問い>

  1. 自分にとって、やりたいことは何ですか?
  2. 自分にとって、得意なことは何ですか?
  3. 自分にとって、やることに意味を感じられることは何ですか?
  4. 自分にとって、どんな組織制度が働きやすいですか?
  5. 自分にとって、どんな組織風土が合っていますか?
  6. 自分にとって、どんな事業に将来性を感じますか?
  7. 自分にとって、どんな経営者が信頼できますか?

執筆者はこの人!

池田 信人

自動車メーカーの社内SE→人材紹介会社の法人営業→就活支援会社の事業企画・メディア運営→独立。ニャンキャリアを運営。Twitterはこちら

公開日 2019-08-14 最終更新日 2023-03-19