就活で人気企業と呼ばれる企業は、そのほとんどが難関企業。志望動機についても求められる水準(レベル)は相当に高いです。
人気企業内定者の方々が「どのように志望動機を伝えていたのか」を知ることで、人気企業が志望動機に求める水準を知っていただくのと同時に、内定者の志望動機の共通点を探してみましょう。
就活支援のプロであるジョブ吉の解説付きですʕ•ᴥ•ʔ
1. 電通内定者Aさんの志望動機
志望動機の内容
日本の商品やサービス、コンテンツを世界に広めたい。そのためには日本一、世界一の電通という大きな舞台が必要ですと面接で訴えた。
自分の場合は「なんで博報堂やADKでは駄目なの?」とか「海外に興味があるなら商社は?」などといった質問は全くと言っていいほどされなかった。しっかりと、ど真ん中の志望動機を用意しておけば、そういった余計な質問はされないと思った。最初から最後まで本当に第一志望だということが伝わっているな、と感じながらの面接だった。
ただし、二次面接では、電通でやりたいことを中心に聞かれた。広告会社や電通に対するしっかりとした理解がないと返答に窮する質問が多かったように思う。
<ジョブ吉の解説>
志望度の質問は「当社への志望度をお聞かせ下さい」というような志望動機をストレートに聞く質問だけではありません。
「当社でやりたいことはありますか?」という業界・企業・仕事の理解度を試す質問によっても志望度を評価されることがあります。
今回のAさんは、まさにそのケースである可能性が高いです。業界・企業・仕事への理解度が高かったからこそ志望動機自体へのツッコミがなかった。そのように考えられます。
2. 博報堂内定者Bさんの志望動機
志望動機の内容
1. 広告が好きだということ
2. 人が好きだということ
1に関して、具体的にはJリーグやプレステなど、私自身が様々なものに影響を受けてきました。良い意味で広告にいいようにやられてきたので、逆に自分から何か仕掛けたい! 世の中の動きを作りたいと思いました。
2に関して、具体的には人間観察が好きであるということと塾講師のアルバイトの経験が挙げられます。例えば、カフェや電車などに一人でいるときは、周りの人を見てついつい「この人はどこに行くのだろう」とか「恋人いるのかな」とか、考えてしまいます。
また、塾講師のアルバイトでは、長年の指導を通じて、保護者と教師、生徒と教師など「人と人とのつながり」を実感することができました。これは御社の「エンゲージメント・リング」の手法と極めてよく似ており、是非御社で働いて、貢献したいと考えています。
志望動機の伝え方
1. 論理的に話すということ
論理的といっても難しいことはしていません。結論→理由1(エピソード)→理由2(エピソード)の順で伝えることを徹底しました。どんな質問であれ、このように答えることを心がけました。
2. ヤリタイコトを明確にすること
「何か一言ありますか?」という質問には、必ずヤリタイコトを答えるようにしました。「私には夢があります。具体的には、○○という夢です。というのも…」といった感じです。決め言葉として「御社での業務を通じて夢を叶え、貢献していきたいです」で締めました。
<ジョブ吉の解説>
やりたいことを伝える際に「御社での業務を通じて夢を叶え、貢献していきたい」ということをセットで伝えていた点が素晴らしいです。
「やりたいこと」というのは、どうしても利己的なもの、自分都合なものとして相手に伝わりがちですが、「御社での業務を通じて夢を叶え、貢献していきたいです」というように、会社への貢献意識とセットで伝えることで、その「やりたいこと」が自分の都合だけでなく会社都合も考慮されたものであるという伝わり方になります。
3. 三菱商事内定者Cさんの志望動機
志望動機の内容
環境、インフラ、資源エネルギー等の国際プロジェクトに携わりたいからです。面接官からの質問で「君は土木学科だし、それならゼネコンでも良い。なぜ商社なのか」と聞かれた時は
「プロジェクトのフェーズのゼロから最後まで見るマネジメントに関心があるからです。確かに土木学科に所属しておりますが、今まで勉強してきたことは技術と言うよりはマネジメントであり、例えば卒業論文ではジャカルタの地下鉄プロジェクトを対象に取り組みました。卒論でやったことは地下鉄を導入したら本当に人々が使われるのか、ペイするのか、ということに関心がありましたので、実際に住民にインタビューをし、使いそうかどうかを調査しました」
と答えることで「技術ではなく、経営を主に勉強してきたから商社なのか」と面接官の方に納得してもらえました。
志望動機の伝え方
なぜ、国際プロジェクトなのか。なぜ、ゼネコンではなく商社なのか、という風にロジックを深くしておくこと。そして、その理由には概念ではなく実際の経験談を入れることを徹底しました。
<ジョブ吉の解説>
志望動機に関しては「こう伝えると、こういったツッコミが来るだろう」というような想定問答を考えておくことが定石です。
また、志望動機のロジックを支える上では、自身の過去の経験(や考え・価値観)との紐づけが有効です。間違っても一般論と紐づけてはなりません。
4. 資生堂内定者Dさんの志望動機
志望動機の内容
1:化粧品業界を志望した理由
マーケティングのやりがいがある(価格競争に陥りづらい・ブランド感が重要だから)
2:化粧品業界の中でなぜ資生堂か
価値観に強く共感。学生生活を通じて、誠実さという価値観が自分の軸に。資生堂から誠実さを強く感じる。働く上で、企業としての価値観に共感できるかが最も重要だと考える。理由は、価値観に共感できるからこそ自分らしく働ける=自分の力を存分に発揮できる=会社へ貢献できる。
3:なぜ営業か
自分の力が役に立つから。将来的にマーケティングをやりたいから。 相手の立場を考え交渉する力など(学生時代に自分の企画に協力してもらうために多くの人と交渉。誠実に相手と向き合い、相手を徹底的に理解することが交渉の秘訣だということを学ぶ)が営業に役立つと考える。また、将来的にマーケティングをやりたいので営業で現場を知る必要があると考えた。
結局、志望理由は「自分らしく働けるから」「自分が御社に貢献できると思うから」に集約されると思います。
志望動機の伝え方
なぜその業界を志望して、
その中でなぜ資生堂なのか、
また、なぜその職種なのか。
この3点を自らの経験を交え論理的にまとめました。面接時は質問の回答として必要な部分だけ話しました。
<ジョブ吉の解説>
「業界を志望する理由」
「業界の中でその企業を志望する理由」
「その会社の募集職種を志望する理由」
という3つの志望理由が揃うと強固な志望動機となります。選考をする企業側としても、志望動機にツッコミを入れる上で、この3点がツッコミポイントになりやすいので事前準備をしておくことをお勧めします。
5. 日本ロレアル内定者Eさんの志望動機
志望動機の内容
私は化粧品業界を志望していたというより、物流に興味があり、メーカーの物流部も視野に入れていた。私は人の上に立って引っ張っていくというより、一歩下がって見るタイプなので下から人を支える仕事がしたい、そして海外ともつながりのある仕事をしたいと思い物流を志望した。
また、アルバイトではレストランでオーダーをとる仕事をしており、そこでは自分がオーダーをとった料理を「どれくらい」「どのタイミング」「どの順番」で出すかは自分でコントロールできた。
これはお客様の立場と店の状況の両方を計算して考えなければならない。お客様の机のお皿からちょうど料理がなくなったときに次の料理が出てくるようにできたときは一番いいサービスができたと思うし、それが「必要なときに必要なだけ」提供するというロジスティックスに似ているものがあると感じ、同時に企業への重要性を感じた。
<ジョブ吉の解説>
上記は「その会社の募集職種を志望する理由」に該当する内容です。レストランのアルバイトという過去の経験と職種(仕事)との共通点を上手く説明しています。
こういった説明ができると「物流の仕事に通じる経験を積んでいるので、仕事の飲み込みが速いかもしれない」というような能力面のプラス評価を引き出せる可能性も出てきます。
6. 三菱UFJ銀行内定者Fさんの志望動機
志望動機の内容
私は何事もやるからには、スケールの大きいところで挑戦したいという思いから御行に興味を持ちました。
モルガンスタンレーの買収など健全かつ積極的に行動をしている姿勢から、御行であればもし日本経済が不況に陥ったとしても国内最大の顧客基盤や証券、信託をも巻き込み、なんとかしてお客様を守れるのではないかと感じました。
また、私自身も日頃から多種多様な方々とのお関わりによって知識を増やし人間力を高められると思いました。お客様の悩みとは、一つとして同じものはないからこそ、私は多方面から提案をしたいと思いました。だからこそ、御行のような規模が必要だと考えました。
志望動機の伝え方
私は上記のことを面接で述べました。その中でも話し方に強弱をつけ、話し口調で喋れるように伝えたいことをまず自分で理解しました。
考えたことを暗記してそのまま話すのではなく、自分は御行に対してどう思っているのか、御行のどういった取組みが好きなのかなど、本心で思うからこそ伝わるものもあるのかと思いましたし、事前にたくさん研究も行いました。
<ジョブ吉の解説>
志望動機を伝える上では「想い」がこもっているかが重要です。「想い」という言葉は「熱意」「感情」と置き変えても大丈夫です。
志望動機を丸暗記してしまうと、どうしてもぎこちない、違和感のある話し方になってしまいがちなので、無理なく自然に語れるような志望動機を考え抜いておくことをお勧めします。
7. まとめ(内定者の志望動機の共通点)
最後に、これまで登場した内定者の方々の志望動機のポイントをまとめたいと思います。
電通内定者Aさんの志望動機のポイント
志望度は「当社でやりたいことはありますか?」という業界・企業・仕事の理解度によって評価されることもあるので業界研究や企業研究や仕事研究が欠かません。
博報堂内定者Bさんの志望動機のポイント
「やりたいこと」というのは、どうしても利己的なもの、自分都合なものとして相手に伝わりがちですが、
「御社での業務を通じて夢を叶え、貢献していきたいです」というように、会社への貢献意識とセットで伝えることで、その「やりたいこと」が自分の都合だけでなく、会社都合も考慮されたものであるという伝わり方になります。
ただし、どういった貢献ができるのかを考える上で業界研究や企業研究や仕事研究が欠かせません。
三菱商事内定者Cさん・資生堂内定者Dさんの志望動機のポイント
志望動機に関しては「こう伝えると、こういったツッコミが来るだろう」というような想定問答を考えておくことが定石です。
そして、そのツッコミポイントとしては
「業界を志望する理由」
「業界の中でその企業を志望する理由」
「その会社の募集職種を志望する理由」
という3点が想定しやすいので、事前準備をしておくことをお勧めします。その事前準備で具体的にやるべきことは業界研究や企業研究や仕事研究です。
日本ロレアル内定者Eさんの志望動機のポイント
過去の経験と、職種(仕事)との共通点を上手く絡めることができれば、志望度面だけでなく能力面でのプラス評価を引き出せる可能性も高まります。
そのためには、業界研究や企業研究や仕事研究にしっかり取り組んだ上で、職種(仕事)のことを理解しておくことが必要です。
三菱UFJ銀行内定者Fさんの志望動機のポイント
志望動機を伝える上では「想い」がこもっているかが重要です。「想い」という言葉は「熱意」「感情」と置き変えても大丈夫です。
志望動機を丸暗記してしまうと、どうしてもぎこちない、違和感のある話し方になってしまいがちなので、無理なく自然と語れるような志望動機を考え抜いておくことをお勧めします。
そのためにも、業界研究や企業研究や仕事研究を通じて、志望動機を自分の言葉で語れるようにする準備が欠かせません。
いかがでしょうか。
察しの良い方は、この人気企業内定者6名が語る志望動機から見える1つの共通点に気付かれたことと思います。志望動機の書き方と伝え方については、下記の記事に基礎基本のノウハウが凝縮されているので、ぜひ参考にしてみてくださいʕ•ᴥ•ʔ
<おすすめ情報>
・就活の志望動機のES(書き方)と面接(伝え方)の教科書
「おっと、志望動機の前に、そもそもの自己分析から始めなきゃ!」という方には下記の記事が超絶お勧めです!
<お勧め情報>
・超効率的な就活の自己分析のやり方と、やりがい起点の「適職発見型」自己分析法
執筆者はこの人!

就活支援のプロ。自分のキャリアを考える機会を増やすことで“くじ引き”と言われる初職選びで外れくじを減らすことができると信じている派です。Twitterはこちら。
公開日 2019-07-22 最終更新日 2022-07-14