超効率的な就活の自己分析のやり方

自己分析とは過去の自分の経験を分析して、自身の強みと価値観を言語化する作業です。言葉にするとシンプルですが、いざ自己分析に取り組むとなると……

  • 何から始めれば良いか分からない
  • 上手く自己分析ができない
  • 自己分析にやたら時間がかかる

このように、自己分析に苦労する人は少なくありません。そこで、本稿では筆者が就活支援の現場で伝え続けてきた実践的な自己分析ノウハウをお届けします。

超効率的な自己分析のやり方です。

自己分析の目的

自己分析は何のためにするのでしょうか?

自己分析の必要性を理解することは、やる気を持って自己分析に取り組む上で大切なことなので、まずは自己分析の目的を整理します。

自己分析は就職のミスマッチを防ぐ

とても残念なことですが就活(初職選び)ではミスマッチが頻発します。事実、日本の大学卒の就職後3年以内離職率は1987年(昭和62年)から今日に至るまでの長きに渡り30%前後で推移しています。

当然ながら、職場のハラスメントによる離職や家庭の事情による離職などの想定外の出来事は防ぎようがありませんが、自分と仕事のミスマッチによる早期離職はどうでしょうか?

例えば、物事を深く考える思考力に強みを持つ人が、とにかく行動することが求められる仕事に就いた結果、自身の強みを発揮できずに早期離職してしまうケース。

例えば、創意工夫しながら仕事に取り組みたい価値観を持つ人が、前例踏襲(これまでのやり方にならう)タイプの仕事を選んだ結果、その場で働き続けることに息苦しく感じて早期離職するケース。

このような離職のケースは自己分析を通じて防ぐことが可能です。

自己分析に取り組み、自身の強みや価値観にもとづく企業選びの軸(就活の軸)を具体化し、その軸にマッチする仕事を選ぶことで早期離職のリスクを減らすことができます。

自己分析は就活時間を最小化する

就活は大学受験と似ていると言われます。確かに、椅子取り競争である点では似ていますが、異なる点も多くあります。

  1. 選考応募の費用
    大学受験は有料ですが就活の選考応募は無料なので応募し放題です。
  2. 選考時期
    大学受験は選考時期が集中していますが就活の選考時期は分散しているので応募先を絞る必要性に迫られません。
  3. 合格基準
    大学受験には偏差値がありますが就活には偏差値はないので “応募してみないと分からない心理” が働きます。

これらの違いから言えることは何か。

それは、就活には応募社数が増えやすい構造があるということです。そして、応募社数の増加は就活時間が増えることを意味します。就活では応募する企業ごとに企業研究・ES作成・説明会参加・選考参加の時間が発生します。10、20、30と応募社数が増えるほどに就活時間も増えていきます。

もしも、あなたが大学生活と就活を両立させたいと願うのならば、あるいは、限られた就活時間を本命企業の選考対策に集中投下したいと考えるならば、応募社数を絞る戦略がお勧めです。

そして、応募社数を絞るための最も優れた手段は自己分析です。自己分析に取り組み、自分の企業選びの軸(就活の軸)を具体化させることで応募社数を絞ることができます。

<参考情報>
就活に時間を使えば使うほどに就活が上手くいかなくなる理由|ニャンキャリア

自己分析は選考通過率を高める

新卒採用のES選考と面接選考に共通して問われる自己PRと志望動機。これらの完成度を高めるには自己分析が欠かせません。

中には、自己分析を全くせずに、就活サイトに掲載されている「内定者の選考対策情報」を真似する人もいるかもしれません。しかし、難関企業の選考はそんなに温くありません。ES選考や集団選考などは通過できたとしても、その後の面接選考で躓くことが多いでしょう。

「なぜそのようにしたのですか?」
「その時どう思ったのですか?」
「そう考えるのはなぜですか?」

このような深堀り質問に即座に対応するためには、自己分析を通じて、自分の強みや価値観を “自分の言葉” として言語化する必要があります。

自己分析の目的のまとめ

自己分析の目的とは、ミスマッチを防ぎ、就活時間を最小化し、選考通過率を高めることにある。

このように述べてきましたが、よりシンプルに自己分析の目的を定義するならば、

自己分析の目的は「自分にマッチする企業を見つける確度を高める企業選びループと志望企業の選考通過確度を高める選考対策ループを回すこと」にあると言えます。

上図の通り、自己分析は企業選びと選考対策の起点としての役割があります。

しかし、これほど重要な位置づけにある自己分析を軽んじてしまった結果、後悔をする方は少なくありません。

例えば、マイナビ 2023年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(12月)の結果では、なんと57.9%もの方々が「年内にやっておけばよかった、もっと時間をかければよかった」と思う就活準備に「自己分析」を挙げています。

後悔先に立たず、ですから、就活早期から腰を据えてじっくりと自己分析に取り組むことをお勧めします。

超効率的な就活の自己分析のやり方

自己分析の目的をお伝えしたところで、ここからが本題です。超効率的な自己分析のやり方の話に入ります。

一般的な就活の自己分析では、自分史やモチベーショングラフのように、「生まれてから現在に至るまでの過去の経験全て」が自己分析の範囲になります。それに対して、超効率的な就活の自己分析では、自己分析の範囲を「頑張った経験」に絞ることで、自己分析の効率化を図ります。

頑張った経験とは、言い換えると、自分で考えて行動した経験です。

そして “自分で考えて行動すること” は仕事の本質です。営業・企画・研究開発・人事……どんな仕事でも、仕事を遂行する当事者に本質的に求められていることは “自分で考えて行動すること” です。

ゆえに、頑張った経験(自分で考えて行動した経験)を分析することで言語化した自身の強みや価値観は、仕事をする上での強みと価値観(自己PRで伝えるに値する強み、志望動機で伝える企業選びの軸)に通じます。

つまり、自己分析の範囲を頑張った経験(自分で考えて行動した経験)に絞ることで、自己分析と自己PR対策と志望動機対策を兼ねることができ、結果的に就活全体の効率性を飛躍的に高めることができるようになります。

それでは、ここからは超効率的な就活の自己分析のやり方についての解説を進めていきます(3つの自己分析法を順番に解説していきます)。

1. 行動事実に向き合う自己分析法
頑張った経験から行動事実を抽出して強みと価値観を言語化します。

2. やりがいに向き合う自己分析法
頑張った経験からやりがいを抽出してマッチングワード(自分が適職に求める高解像度イメージ)を見つけます。

3. 志望企業に向き合う自己分析法
MUST・WANT・CAN・NEEDSの4視点で自分の志望企業を比較することで自身の本質的な価値観を導きます。

※3つ目は、自己分析の範囲が「志望企業」であり「頑張った経験」ではありませんが、“就職のミスマッチを防ぐ” という観点において役立つ、超効率的な自己分析法になるので本稿でご紹介したいと思います。

1. 行動事実に向き合う自己分析法

Step1. 頑張った経験を書く

頑張った経験を書きましょう。頑張った経験は、仕事にも通じる経験(以下の項目に当てはまるもの)が好ましいです。

  • 長期間頑張った経験
  • 組織の中で頑張った経験
  • 主体的に取り組んだ経験
  • 目標達成に向けて頑張った経験
  • 期限がある中で頑張った経験
  • 逆境の中で頑張った経験

<例>
飲食店の接客アルバイトを頑張った。

Step2. 大変だったことを書き足す

頑張った内容の中で、大変だったこと(苦労したこと)を書き加えます。

<例>
飲食店の接客アルバイトを頑張った。接客スタッフの人数が明らかに少ない中できちんと接客をすることが大変だった。

Step3. 行動事実を書き足す

大変だったこと(苦労したこと)はどのようにして乗り越えたのか? あなたの行動事実(あなた自身が行動したこと)を具体的に書き足しましょう。

<例>
飲食店の接客アルバイトを頑張った。接客スタッフの人数が明らかに少ない中できちんと接客をすることが大変だった。来店されたお客様が入り口で待たされている時間が長い点に問題があることが分かっていたので、手が空いている調理スタッフもお客様の来店対応ができるようにすべきという提案を店長にした。店長の了承を得た後に来店対応マニュアルを作り、調理スタッフが来店対応できるようになるまでの全てのプロセスに関わった。 

Step4. 行動事実から強みを言語化する

行動事実の内容から強みを明らかにします。Step3の行動事実の例から読み取れる強みは以下の通りです。

  • 問題点を見つける「観察力」
  • 問題点から課題を導く「問題分析力」
  • 課題解決のための「提案力」
  • 何事も自分事として捉える「主体性」
  • 結果が出るまでコミットする「実行力」

これらの強みは自己PR・学生時代頑張ったこと(ガクチカ)に使えます。具体的な自己PRの書き方・伝え方についてのノウハウは下記の記事をご覧ください。

<参考情報>
【就活】自己PRと学生時代頑張ったこと(ガクチカ)で高評価を得られる秘密のレシピ|ニャンキャリア

Step5. 行動事実の動機から価値観を言語化する

あなたの行動事実についての動機(なぜ、その行動ができたの)を書き出しましょう。その動機から価値観を言語化します。

<例>
「来店されたお客様が入り口で待たされている時間が長い点に問題があることが分かっていたので、手が空いている調理スタッフもお客様の来店対応ができるようにすべきという提案を店長にした」という行動ができたのは、純粋にお客様に喜んで欲しいと思ったから。誰かの役に立てていることが実感できると嬉しい。

この行動事実の動機から導かれる価値観は以下の通りです。

  • 人の役に立ちたい
  • 価値貢献したい
  • 感謝されたい

これらの価値観は志望動機(企業選びの軸(就活の軸))で使えます。具体的な志望動機の書き方・伝え方に関しては下記の記事が参考になります。

<参考情報>
【就活】志望動機の書き方・伝え方の教科書|ニャンキャリア

2. やりがいに向き合う自己分析法

Step1. 頑張った経験を書く

頑張った経験を書き出しましょう。頑張った経験は、仕事にも通じる経験(以下の項目に当てはまるもの)が好ましいです。

  • 長期間頑張った経験
  • 組織の中で頑張った経験
  • 主体的に取り組んだ経験
  • 目標達成に向けて頑張った経験
  • 期限がある中で頑張った経験
  • 逆境の中で頑張った経験

<例>
・頑張った経験
テニスサークルで部長として頑張った

Step2. やりがいを感じたことを書く

頑張った経験の中でやりがいを感じたことを書きましょう。やりがいとは感情のプラス変化(嬉しかったことや喜びを感じたこと)と考えていただいて大丈夫です。

<例>
・頑張った経験
テニスサークルで部長として頑張った

・やりがいを感じたこと
チームをリーグ優勝に導いたこと

Step3. やりがいを感じた理由をキーワード化する

やりがいを感じたのはなぜでしょうか?

やりがいを感じた理由を考え、その理由をキーワード化(抽象化)します。やりがいを感じた理由を考えるポイントは、自分を主語に置いて考えるということです。

仮に、あなたと同じような経験をしていて、あなたと同じようなことにやりがいを感じたという人が10人いたとしても、やりがいを感じた理由は人それぞれです。

例えば、頑張った経験が「テニスサークルで部長として頑張った経験」で、やりがいを感じたことが「チームをリーグ優勝に導いたこと」というA~Eさんが存在したとしても、やりがいを感じた理由はそれぞれに異なります。

  • Aさん:チームをリーグ優勝に導く過程で組織をまとめる力が培われたことを実感できた点にやりがいを感じた(キーワードは自己成長)
  • Bさん:チームをリーグ優勝に導いた結果、後輩から感謝された点にやりがいを感じた(キーワードは感謝される)
  • Cさん:チームをリーグ優勝に導いた結果、監督から自分の努力を認められた点にやりがいを感じた(キーワードは認められる)
  • Dさん:チームの目標としていたリーグ優勝を達成できたことに対してやりがいを感じた(キーワードは目標達成)
  • Eさん:自分の考えで試行錯誤してチームをリーグ優勝に導けたことにやりがいを感じた(キーワードは裁量)

あなたらしい理由を考えてみましょう。

<例>
・頑張った経験
テニスサークルで部長として頑張った

・やりがいを感じたこと
チームをリーグ優勝に導いたこと

・やりがいを感じた理由
チームをリーグ優勝に導いた結果、後輩から感謝されたことが嬉しかった

・キーワード
感謝される

<参考情報>
【自己分析】仕事のやりがいが見つかる楽しみスイッチと喜びスイッチ|ニャンキャリア

Step4. キーワードを具体化する

キーワードは、そのままでは有効に使うことができません。

キーワードを具体化することで、あなたが適職と出会うためのマッチングワードとして機能するようになります。キーワードを具体化するコツは多角的に自問自答することです。

Who(誰が)/When(いつ)/Where(どこで)/What(何を)/Why(なぜ)/How(どのように)/How much(どのくらい)の5W2Hで考えると便利です。

以下は「感謝される」というキーワードを5W2Hで自問自答した際の例です。

<例>
・Who(どんな人から感謝されたい?)
たまに会う人やその場限りの相手よりも、毎日顔を合わせる人から感謝されたい

・When(いつ感謝されたい?)
毎日感謝されたい 

・Where(どこで感謝されたい?)
みんなの前で感謝されるのは恥ずかしい、1対1の会話の中で感謝されたい

・What(何を感謝されたい?)
自分が頑張ったことではなく、結果そのものについて感謝されたい

・Why(なぜ感謝されたい?)
感謝されると嬉しくなるから

・How(どんな風に感謝されたい?)
人づてに(間接的に)感謝されるよりも直接的に感謝されたい

・How much(どのくらい感謝されたい?)
その場限りの感謝というよりは相手から信頼を寄せてもらえるぐらいに感謝されたい

上記のように、多角的な問いに答えることでマッチングワード(自分が適職に求める高解像度イメージ)を見つけます。

<例>
・頑張った経験
テニスサークルで部長として頑張った

・やりがいを感じたこと
チームをリーグ優勝に導いたこと

・やりがいを感じた理由
チームをリーグ優勝に導いた結果、後輩から感謝されたことが嬉しかった

・キーワード
感謝される/人の役に立つ

・マッチングワード①
その人の代わりに何かをやるのではなく、その人の成長を助ける面で役に立ちたい

・マッチングワード②
毎日感謝されたい

・マッチングワード③

自分が頑張ったことではなく、結果そのものについて感謝されたい

Step5. 適職を探す

最後は、マッチングワードを活用して適職(自分に適した仕事や会社)を探します。ただ、自力で適職を探すことは業界研究や仕事研究が出来ていない限りはやや難しいので、頼れる第三者に相談してみるのも有りです。

<例>
・マッチングワード①
その人の代わりに何かをやるのではなく、その人の成長を助ける面で役に立ちたい=教える仕事、伴走する仕事

・マッチングワード②
毎日感謝されたい=短期間で結果が出る仕事顧客からのフィードバックを得やすい顧客接点を担う仕事(営業職や販売職)

・マッチングワード③
自分が頑張ったことではなく、結果そのものについて感謝されたい=結果重視の評価制度

たとえば、この3つのマッチングワードを組合せるとコンサルティングファームのコンサルタント職が適職の選択肢として浮上します。

3. 志望企業に向き合う自己分析法

Step1. 自己分析用のベン図と表を作る

始めに自己分析用のベン図を描きます。

<ベン図の要素>

  • 社会的にやるべきこと(MUST)
  • 自分のやりたいこと(WANT)
  • 自分の得意なこと(CAN)
  • 市場の需要があること(NEEDS)

このベン図は、自分視点に加えて社会の視点を盛り込んでいる点がポイントです。

自分のやりたいこと・得意なことの自分視点も大切ですが、社会的にやるべきこと(社会問題)や市場の需要との関連性を意識することで、現実的な適職を考えやすくなります。

表は以下のように作成します。

企業名(職種名) WANT CANNEEDS MUST
企業名1評価評価評価評価
企業名2評価評価評価評価
企業名3評価評価評価評価

Step2. 自己分析表の空白を埋める

自己分析表の企業名(職種名)欄に志望企業を記入し、WANT・CAN・NEEDS・MUSTの欄に評価を記入します。

WANT・CAN・NEEDS・MUSTは欄の書き方については〇(一致)、△(やや一致)、×(不一致)の3段階評価でも点数評価でもOK。とにかく比較さえできれば良いです。

<記入例>

企業名(職種名) WANT CAN NEEDS MUST
エネルギッシュ食品(総合職)
フルーツ総研(コンサル職)
ベジタブル証券(営業職)×

Step3. 自己分析表の記入内容を比較検討する

最後に、以下のベン図を使用しながら、自己分析表の企業を比較検討します。

<ベン図の追加要素>

  • 使命感を持てる(MUST×WANT)
  • 情熱を注げる(WANT×CAN)
  • 稼げる(CAN×NEEDS)
  • 社会的意義がある(NEEDS×MUST)

このベン図にStep2の自己分析表の記入例を当てはめると、以下のようになります。

  • エネルギッシュ食品(総合職)
    社会的意義がある(NEEDS×MUST)
  • フルーツ総研(コンサル職)
    情熱を注げる(WANT×CAN)
  • ベジタブル証券(営業職)
    稼げる(CAN×NEEDS)

そして…

「自分のやりたいこと・得意なことを考えるとフルーツ総研が1番だが、稼げるかどうかで考えるとベジタブル証券が圧倒的に上なので心が揺らぐ……一方で、エネルギッシュ食品については社会的意義があるものの、あまり心が動かない。ということは、自分にとっては情熱を注げることや稼げることの方が重要なのかもしれない」。

という具合に、

俯瞰的な視点で、自分の職選び・適職探しで何が重要なのかを考えていきます。志望企業や興味のある企業同士をぶつける(比較検討する)ことで、より本質的な自身の価値観に辿りつける可能性が高まります。

自己分析でやらない方が良い4つのこと

1. 事実を軽視した自己分析

自己分析を通じて自身の強みと価値観を言語化した時に、それが事実を軽視したものであるのは宜しくありません。

例えば、「私には挑戦心があります」と自身の強みを自己PRで伝えるシチュエーションで問われるのは、その「私には挑戦心があります」という解釈を裏付ける事実の有無です。解釈を裏付ける事実がない限りは、それは思い込みに過ぎない(評価できない)と面接官からは判断します。

自己分析をする際には、事実と解釈を1セットで紐づけて考えるようにしましょう。

2. 他人の自己分析結果の真似

自己分析は「過去の自分の経験を分析して、自身の強みと価値観を言語化する作業」ですから、他人の自己分析のやり方を真似するのはOKですが、自己分析結果を真似するのはNGです。

仮に、他人の強みや価値観を使って内定に至ったとしても、企業から評価されたのは他人になりきった自分です。本当の自分ではないので、入社後に活躍できなかったり、自分には合わない仕事だと感じて当然です。

3. 自分の強みや価値観を曲げる

面接で自己PRを伝える際に、企業の求める人材像にマッチするように自身の強みや価値観を語ることで、企業は「この人は当社の求める人材像に近い」と評価しやすくなります。

志望企業に内定を得ることを優先すると、自己分析を通じて見つけた自分の強みや価値観を曲げても構わないと考えることもできますがお勧めできません。無理やり企業の求める人材像になりきったところで、それは本当の自分ではないのですから。

4. 自己分析で悩む

自己分析では「どうしよう、分からない…」と悩むのは時間の無駄です。自己分析が作業である以上は進め方というものがあります。その自己分析の進め方に沿って考えることが重要です。とにかく考えることから逃げずに作業を進めましょう。

ちなみに、自己分析で悩むケースで多いのは自己分析ばかりしているケースです。

「あー、自分は自己分析で悩んでいるな」と思い始めたら、いったん自己分析を中断して他の就活の行動に切り替えましょう。ES作成、業界・企業研究、OB訪問などを通じて得た気づきが、停滞していた自己分析を前に進める力になります。

自己分析に関するよくある質問(FAQ)

自己分析不要論は本当?

自己分析には色々な流派と言いますか、やり方があります。そのため、流派間の争いの中で(あの流派の)自己分析は意味がないと非難することはあると思いますが、自己分析自体が不要ということはないと筆者は考えます。

その上で「自己分析は必要ない、時間の無駄だ」などと自己分析そのものを否定する人がいる場合、それは2種類のタイプのいずれかに該当する人なのではないでしょうか?

1つの目のタイプは就活前には自分の強みと価値観を認識していた人です。

自営業の親の働く姿を間近で見続ける中で自身の将来を考えてきた人。企業での長期インターン経験を通じて自分の仕事適性ややりたいことの解像度が高くなっている人。夢や具体的な目標を叶えるために大学進学している人。世の中には、就活前に自己分析が必要ないレベルで自身の強みや価値観を認識できているので自己分析の必要性を全く感じない人がいます。

2つ目のタイプは 自己分析が上手くできなかった人です。

物事の価値を自身のモノサシだけで決める人は、自分が自己分析が上手く行かなかった事実をもって、自己分析は必要ないと考えます。

自己分析ツールは使える?

使えるか使えないかで言えば、使えます。

ただ、微妙です。なぜなら、自己分析の診断ツールには診断テストに回答するだけで自分の強みや価値観がある程度分かるメリットがある一方で、診断ツールだけで自分の強みや価値観が分かった気になる(そして、それ以上の自己分析をしなくなる)デメリットを含んでいるからです。

このデメリットに飲み込まれずに、診断ツールの診断結果を自己分析の起点として自己分析を深めていける人には診断ツールは有益だと思います。

その上で、クリフトンストレングス(旧名称:ストレングスファインダー)はお勧めです。

クリフトンストレングスはWebサイト上で177個の質問に答えることで34の資質に関するレポートが得られます。「診断結果は分かったけど、これをどう活用すればいいのか?」という診断ツールの弱点をカバーする具体的な解説が秀逸で、就活の最前線で実践投下できる自己分析ツールです。

“クリフトンストレングス34は、あなたのクリフトンストレングス・テストへの回答に基づき、あなた固有の才能プロファイルを明らかにします。オンラインテストを終えると個人別のレポートとインタラクティブな学習リソース、その他のリソースを受け取ります。これらの資料は、あなたが生来得意なことは何か、また可能な限り最強の人生を送るために、自身の才能を育成し、活用する方法について説明するものです”

参考:クリフトンストレングスオンライン才能テスト | JA – ギャラップ

自己分析はいつやればいいの?

自己分析は一般的に就活準備として位置づけられるため、大学3年次の6月ぐらいから採用広報のタイミング(大学3年次の3月1日)までの期間に自己分析をしましょうというのが一つの答えです。

その上で、自己分析(自身の強みと価値観を言語化する作業)は、いつやっても大丈夫です。個人的には早い時期から取り組むことをお勧めしますが、遅い時期から始めても大丈夫です。とにかく自己分析をやることが重要です。

そして、できる限り、自己分析をやり続ける(何度も自己分析に取り組む)ことを意識しましょう。なぜなら、自己分析を通じて自分の強みや価値観が分かったと思っていても、実際に就活をする中で自分の自己分析の浅さに気づかされることが普通に良く起こるからです。

ちなみに、今回ご紹介した志望企業に向き合う自己分析法は就活終盤フェーズで行う自己分析ですね。

執筆者はこの人!

池田 信人

自動車メーカーの社内SE→人材紹介会社の法人営業→就活支援会社の事業企画・メディア運営→独立。ニャンキャリアを運営。Twitterはこちら

公開日 2019-07-23 最終更新日 2022-10-24