一般的に、社員は仕事経験を通じて自身の能力やスキルを高めていく。あるいは、お金を使って新しい知識やスキルを習得していくものですが、企業の中には、社員の成長を制度として支援するケースがあります。
なぜ、企業はわざわざ社員の成長を支援するのでしょうか?
それは企業の業績向上を狙うため、離職防止のため、幹部の選抜のため、など様々な理由が考えられますが、どのような目的や意図があろうが、その企業で働く社員にとって成長機会が得られることはとても好ましいことです。
そこで本稿では社員の成長を支援する福利厚生を充実させている優良企業をご紹介します。就活や転職活動で優良企業を探す際の参考情報としてお役立ていただけますと幸いです。
成長に関連する福利厚生制度が充実している優良企業まとめ
スリーエムジャパン
・学費補助制度
自らの意思で学位を取得する社員に会社が学費の一部補助を行う。学位とは海外・国内の大学、大学院において取得可能な修士号(MBAを含む)、博士号(DBAを含む)を指す。
・English Training
業務で必要となる実践的な英語力を鍛えるための社内英会話教室やオンライン学習を提供。
ミクシィ
・社内公募制度(ミクシィ・キャリア・チャレンジ)
事業戦略に基づく重点領域や人員が不足しているポジションの募集要件を社内に公開し、選抜の上、新たなミッションにチャレンジできる機会を提供する社内公募制度。自律的なキャリア形成の機会として年代や職種を問わず広く活用されている。
・社内勉強会
様々な事業領域がある中で、エンジニア同士が交流し、知見を共有し合う場として、Android/iOSアプリの開発やAI/機械学習など、様々な技術TOPICSに関する勉強会や輪読会、共有会を開催。有志の企画や、定期開催の企画など様々な企画がある。
サイバーエージェント
・CAJJプログラム・スタートアップJJJ
事業創出と成長を促すとともに、事業の撤退基準を明確化した独自制度。収益化している事業を対象とした「CAJJプログラム」と原則設立2年以内のスタートアップ事業対象とした「スタートアップJJJ」がある。
・新規事業創出プロジェクト Cycom(サイコン)
社員・内定者が新規事業の提案に挑戦できる新しい企画として2019年10月に開始。書類審査を通過した新規事業案を提案者が代表の藤田にプレゼンする模様を社内向けに動画配信。フィードバックを通して審査のポイントなどを提案者以外の社員も学べる仕組みになっている。
LIFULL
・LIFULL大学
社員一人ひとりの能力開発を目的とした「必須プログラム」「選択プログラム」「選抜プログラム」からなる社内大学。「選択プログラム」では、社長が主催する経営塾、プロジェクトマネジメント、レコメンデーション技術、ロジカルシンキング、英会話等、社員は自身が受講したいゼミを選択して受講可能。ほとんどのゼミで社員が講師を務め、職種や部門を越えてお互いに教え合う文化の醸成に繋がっている。「選抜プログラム」は、次世代リーダー育成プログラムです。トップセールス、クリエイティブアワード、ベストマネジャー、役員推薦等、次世代経営者候補を選抜した海外研修等を実施している。
・新規事業提案制度「Switch」
内定者も含め社員なら誰もが新規事業を提案できる制度。小さな子供がいる短時間勤務の女性社員が優秀賞を獲得したり、新卒1年目の社員が入賞するなど、性別や役職、社歴などに関係なく多くの社員が挑戦、成長できる場となっている。高齢者施設・住宅情報専門サイト「LIFULL 介護」もこの制度から誕生。
セプテーニ・ホールディングス
・BLPマネジメント
将来の幹部候補者を育てるためのマネジメント領域に特化した経営者育成プログラム。 公募で選抜を実施し、選抜者は2年間無料で社外のビジネススクールに通うことができる。
・gen-ten
新規事業創出を促進させるための新規事業プランコンテスト。優秀なプランであると認められればセプテーニ・ベンチャーズでの事業化が検討されているので、起業や新しいサービスの立ち上げを望んでいる社員にとって挑戦の機会となる。
トライバルメディアハウス
・バージョンアップ支援金制度
スタッフ一人ひとりのスキル向上や業務に関連する領域の支援を目的として、年間上限30万円を支給(条件あり)。
・トライバルプロフェッショナルプロジェクト(虎プロ)
「業界で一目置かれるプロフェッショナル(講師)養成」を目的に実施しているプロジェクト。代表の池田氏自ら、マーケティングのプロフェショナルを目指すための講座やレクチャーを行います。プロフェッショナルとして認定された社員は、講師としての登壇に対してインセンティブを獲得可能。
ヤフー
・勉学休職制度
キャリア施策のひとつとして、普段の業務を離れて専門的知識や語学力をより集中的に習得できる機会を提供するための休職制度。勤続3年以上の正社員を対象に最長2年間取得可能。
・サバティカル制度
自らのキャリアや経験、働き方を見つめなおし、考える機会をつくることで本人のさらなる成長につなげることを目的とした休暇制度。勤続10年以上の正社員を対象に2~3カ月の範囲で取得可能。休暇期間中、一定期間は会社が支援金を支給。
ノバレーゼ
・ノバレーゼレボリューション
社内ベンチャーを支援する新規事業提案制度。最優秀賞は100万円で応募件数は毎年200件超。
・異動交渉ができるFA制度
人材を欲しい部署が社内イントラネット上に求人広告を掲載できるシステム。広告に興味を持ったスタッフは上司に知らせることなく求人部署と直接連絡を取り合い、異動交渉をすることができる。
メンバーズ
・10%ルール
社員のインターネットスキル・知識向上のため、業務時間の最大10%まで自らのスキル向上の時間での利用を奨励。社内研修のみならず、社外で行われるセミナーや勉強会への業務時間内での参加も可能。
・資格取得支援/外部講座受講費支援
評価制度と連動した資格取得の受験料や有料講座などへの費用を負担。推奨資格に対する報奨金で社員の主体的なキャリアアップを支援。
・社内公募/自己申告制度
社員が主体性を持ってキャリアを切り開くことができるように、定期的に新しいポジションへ自分の意思でチャレンジできる社内公募制度を設けている。さらに、社内での公募がなくとも、自分の意思を申告しておくことも可能。
オロ
・海外赴任立候補制度
海外での業務・生活を通して、グローバルで活躍できる人材の育成を目的とした制度。
・教育研修奨励金制度
自主的に受講する外部研修費用を上限金額の20万円まで支給。上限内であれば複数の研修受講も可能。
・キャリアトランスファー制度
自己申告で部署異動申請ができる。一定期間働いていく中で思い描くキャリアプランが変わった場合、社内の需要と照らし合わせてマッチした際は異動を支援する制度。
ハウス食品
・グローバルチャレンジ(米国チャレンジ)
米国カリフォルニア大学バークレー校への留学(4ヵ月)とインターンシップ(4ヵ月)。
・グローバルチャレンジ(中国チャレンジ)
清華大学(北京)または復旦大学(上海)への語学留学(期間:4ヵ月)。
・グローバルチャレンジ(新興国チャレンジ)
新興国に赴き、現地のNPOや企業と連携し、現地の社会問題を解決する(期間:3~6ヵ月)。
ロート製薬
・社外チャレンジワーク
土・日・祝日と就業後なら、他で業務を行っても構わないという制度。社外チャレンジワークに挑戦することで、会社で与えられた仕事だけをするのではなく、自分自身で考えて行動し、社会に貢献できる働き方をする社員が増えると考えている。
・社内ダブルジョブ
今の部署にとどまらず、複数の部門・部署を担当できるという制度。部署の枠に縛られることなく働くことで社員のスキルアップや働き甲斐を向上させることが狙い。
スタートトゥデイ
・社内公募制度
新サービスの立ち上げや事業拡大により増員が必要な際に、該当部署が募集をかけ、その募集に対してスタッフが自由に応募できる制度。応募後は課題や面談等を経て、選考に合格すると部署異動が決定(年1回実施)。
・自学手当
スタッフの自己成長を目的に支給される手当。毎月2,500円の支給額は勤続年数に応じて増え、最大100,000円が支給される。 自学手当を利用してインプット量を増やすことで社内や社会に対していいアウトプットを増やしていき、いい影響を与え合える循環を起こすことを目的としている。
オープンワーク
・自己啓発支援制度
自身の業務への関連有無を問わず、自己啓発のための支援として年間12万円を補助する制度。メンバーが目指したいキャリアやスキルアップを積極的に応援している。
ディー・エヌ・エー(DeNA)
・クロスジョブ制度
希望者は他部署の役割・業務を兼務することができる社内副業制度。承認基準あり。
・シェイクハンズ制度
本人と異動先の事業部長の意志が合致すれば、上長や人事の介入なしで部署異動がで着る制度。入社1年以上の全正社員が対象。
塩野義製薬
・社内公募制度
激しい環境変化の中、シオノギがグローバルに勝ち抜いていくためには、個人の成長と組織の成長を結び付けることができる自律型人材が必要となってくる中、シオノギでは「自律的キャリア発達プログラム」の体制を構築し、その一つとして「社内公募制度」を導入している。
・キャリアアドバイザー面談
従業員の申込に応じて、専門の訓練を受けた社内キャリアアドバイザーのキャリアに関わる相談を受けることができる。将来のキャリアプランについて、あるいは仕事上の悩みなど、目的は様々。自身の勤務事業所、またはその付近の会場までキャリアアドバイザーが出張するため、全国どこに勤務していても気軽に受けることが可能。
・自己投資支援制度
「自分の強みを考えて、全く違う専門性を身につけてみよう」、「社内外で競争力のある人材になるために、他の人がやっていない分野に挑戦してみよう」。そういった前向きな従業員を支援する制度であり自ら選んだ学びの費用について年間最大25万円の補助を受けられるという制度。英会話などの語学学習、資格取得のための通学・通信教育、プログラミングなどの技能取得、経営大学院(MBA)等の通学費用、セミナー受講など、幅広い用途に活用されている。
ミスミ
・手挙げ昇格
ミスミでは、上司からの推薦を待つのではなく、より大きな裁量を持ったポジションを担いたいと自ら手を上げた人にチャンスが与えられる。昇格の面接は、合否の判断だけでなく、育成も大事な目的と位置付けた上で行われるため、社員にとっては貴重な成長の機会になっている。
・がらがらポン
社員は希望先組織の上司と直接面談をし、お互いが納得すれば、その組織へ移動することができる組織再編成制度。実際に多くの社員がこの制度を利用し、例えばロジスティクスから商品開発へ、国内から海外へなど、全く違った未経験の仕事へと挑戦している。
・自己啓発支援研修
社員が自己啓発としてビジネス能力・スキル等を向上させることを目的として社外講座、研修などを受講し、 修了した場合に、受講費用の一部を会社が支給。
日東電工
・NIC(Nitto Innovation Challenge)
従業員一人ひとりがイノベーションの創出に向けてチャレンジできるように、という想いで年1回開催される新規事業創出大会。海外のNittoグループを含めると2020年の応募数は1,107件。
執筆者はこの人!

就活支援のプロ。自分のキャリアを考える機会を増やすことで“くじ引き”と言われる初職選びで外れくじを減らすことができると信じている派です。Twitterはこちら。
公開日 2019-07-09 最終更新日 2022-10-07