時は20xx年。
インターネッツと呼ばれる情報の大洪水が世界を飲み込まんとする頃、とある場所で超大型方舟(はこぶね)の建造が進んでいた。

この方舟の目的は種の保存。未来に命を繋ぐために、厳しい選考を突破した選ばれた動物だけが方舟に乗る資格を得るのだ。
今日は最終面接の日。方舟オーナーのノアさんとのグループ面接の結果で内定が決まる。最初のグループは馬、鹿、猫。
この中で誰が選ばれ、誰が落ちるのか?
自己PR合戦
ノア:えー、それでは自己PRをお願いします。
馬:僕は草原を風のように駆け抜けることのできる脚力が強みです。ヒヒヒヒヒーン!
鹿:私は、鹿界隈の中でも最も美しく大きな角(ツノ)が自慢です。鹿界隈では誉れ高い「鹿王」の肩書きも持っています。
猫:我輩は…ええと、暗闇でもモノがよく見える点が強みだと思います。その…夜の見張り役などで役に立てるかなーって。
ノア:ありがとうございます。では、本日の面接結果は3日後に発表しますので、それまでお待ちください。
結果発表
−3日後−
ノア:皆さん、お集りいただきありがとうございます。早速ですが結果をお伝えします。
馬鹿猫:・・・。
ノア:まずは、馬さん!
馬:ヒヒヒヒヒーン!
ノア:落選です。
馬:ヒヒン?
ノア:馬さんは脚力をPRされていましたが、方舟の中で走り回られても困りますから。
馬:ヒヒーン!
ノア:次に、鹿さん!
鹿:はい。
ノア:落選です。
鹿:えっ
ノア:鹿さんに鑑賞的な魅力がある点は素晴らしいと思うのですが、その強みを方舟の中でどうやって活かすのかのイメージが湧きませんでした。あと、肩書きをPRされても何の意味もありませんよ?
鹿:ギャフン!
ノア:最後に、猫さん!
猫:は、はい。
ノア:内定です。
猫:にゃんですと?
ノア:猫さんは「夜の見張り役」とおっしゃる通り、方舟の中で、どんな仕事をできそうかを自分なりに考えている点が良かったです。
そう、猫は「組織で活躍することを意識した」自己PRをできていた点が評価されたのです。
おしまい。
(池田 信人)