【就活寓話】桃太郎の就職相談

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むかしむかし、あるところに、桃太郎という男の子がいました。

就職相談をしたい猫

鬼退治をしたことで有名になった桃太郎ですが、鬼との戦いがない平穏な日々の中において彼は将来の目標を見失っていました。

そんな桃太郎は今年で20歳。就活の時期を迎え、同年代の若者たちと同じように自分の進路について思い悩むようになっていたのです。

<目次>

  • 桃太郎の就職相談
    1. 桃太郎 VS おじいさん
    2. 桃太郎 VS おばあさん
    3. 桃太郎 VS イヌ
  • あとがき

桃太郎の就職相談


1. 桃太郎 VS おじいさん

ある日、桃太郎は、おじいさんに就職先の相談をしました。

桃太郎:おじいさん、俺さ、起業しようと思うんだ。自分が得意な鬼退治を事業化しようと思ってね。まずは手堅い受託型鬼退治ビジネスをはじめようと思うんだけど、どうかな?

桃太郎から相談された瞬間、おじいさんは、30年前に起業に失敗したことを思い出しました。

山に落ちている葉っぱをアート作品として売るという前衛的なビジネスに失敗したのです。需要を見誤ったことが敗因でした。

そして、桃太郎に語りかけました。

おじいさん:桃太郎や、知っとるか? 10年の壁という言葉があるんよ? 起業した企業の10社に9社は、10年目の春を迎えられないんじゃけぇ、現実を見んさい。起業は止めるべきじゃ。それに、この平和な時代に鬼退治の需要がどれだけあると思うんか?

2. 桃太郎 VS おばあさん

桃太郎は「自分の考えが甘かった」と反省し、自身のキャリアを考え直しました。そして、次の日。桃太郎は、おばあさんに就職先の相談をしました。

桃太郎:おばあさん、俺さ、大企業を目指そうと思うんだ。地元の最大手の “きびだんご食品” を受けようかなと。

桃太郎から相談された瞬間、おばあさんは、昨シーズンに人気を博した昼ドラを思い出しました。

それは、主人公の勤める食品メーカーが大手小売店との仁義なき競争の中でPB(プライベートブランド)化の波に飲み込まれていくという話です。

そして、桃太郎に語りかけました。

おばあさん:桃太郎や、大企業はやめるのじゃ。 今は大企業でも倒産する時代ぞ。加えて、大企業には配属リスクや異動がつきものでな。専門性を積み上げるのが難しいのじゃ。

おばあさん:それにな、今はコンビニやスーパーなどの小売店のPB化の流れが加速しておる。これは不可逆的な流れじゃ。地元では “きびだんご食品” は有名じゃが、国内シェアは5番手。ブランドや商品に競争力がないんじゃ。ゆえに、そう遠くない未来には小売店のPB化の流れに飲み込まれてしまう。

おばあさん:そんな未来がワシには見えるんじゃああああッ!

3. 桃太郎 VS イヌ

桃太郎は「自分の考えがまだまだ甘かったんだな」と反省し、自身のキャリアを考え直しました。そして、次の日。桃太郎は、家来のイヌに就職先の相談をしました。

桃太郎:俺さ、アーリーステージのベンチャーにジョインして上場ゴールを狙おうと思うんだけど、どう思う?

桃太郎から相談された瞬間、イヌは、先週参加したビジネススクールの入学体験会で聞いた話を思い出しました。

億万長者になる確率が高い選択は、アーリーステージのベンチャーにジョインすることだが、それでも成功するのは千に三つ程度。

しかし、このビジネススクールで学ぶという選択は億万長者になる確率が最も高いのである。だから入学しなさい、入学しろッ! 確かそんな感じの話でした。

そして、桃太郎に語りかけました。

イヌ: ベンチャーはやめとけ!  上場できるベンチャーなんて1000社に3社とか、そういった確率なんだよ!

桃太郎:えっ、そうなの? 頑張れば報われるっていうサクセスストーリーが、世の中のお約束なのでは? 成功した人って、みんなそんな感じのこと言っているし!

イヌ:それは生存者バイアスって奴だな。上場できなかった残りの997社のことを想像してみろ!  察しろ!


あとがき


おじいさんと、おばあさんと、イヌには共通点があります。

桃太郎(相談者)に向き合っていないのです。

桃太郎は、なぜ起業しようと思ったのか? なぜ大企業を目指そうと思ったのか? なぜアーリーステージのベンチャーにジョインして上場ゴールを狙おうと思ったのか?

3人は、桃太郎の動機を掘り下げることなく持論の即席アドバイスを展開していたのです。

就活では相談相手となる候補は(探せば)たくさんいます。

  • 親や親戚
  • 大学教授
  • キャリアセンターの職員
  • 就活エージェントの面談担当者
  • 大学のOBOG
  • 就活中に出会った人事やリクルーター

あなた(就活の当事者)からすると、大人と呼ばれる彼・彼女らは経験豊富で確かな知識があり、あなたの相談にも誠実に向き合ってくれると思うかもしれません。

ですが、その期待に応えることのできない大人がいる。この事実を知っておくべきです。

そして、もしも、あなたの相談に誠実に向き合ってくれる大人と出会うことができたならば、その関係をどうか大切にしてください。

そういった大人はレア(希少)なのですから。

(池田 信人)

※本記事は筆者がnoteに過去公開していた記事を再編集した内容となります。

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