インターンシップの目的・種類・探し方が分かるインターンガイド

「先輩からインターンシップには参加した方が良いと言われたが、インターンに参加する意味をいまいち分かっておらず、気が乗らない」

「学業の他に、サークル活動やアルバイトで忙しい中で、インターンシップに参加する時間がないが、それで大丈夫なのか不安に思っている」

「インターンシップに参加すると就活に有利になると聞いたが、それって本当? 本当だとしたら、具体的にどんなメリットがあるのかを知りたい」

そんな素朴な疑問に答えるべく、本稿ではインターンシップの目的・種類・探し方などのインターンシップのことが簡単に分かる情報をお届けします。

インターンシップとは何か?

インターンシップの目的

インターンシップとは就業体験(企業の実務を体験する活動)です。

さて、このインターンシップは何のために行われるのでしょうか。Society 5.0(※)に求められる大学教育や産学連携、採用とインターンシップのあり方などを議論する産学協議会の2020年度報告書では、インターンシップの目的を学生が、その仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めることと定義しています。

つまり、インターンシップの目的はジョブマッチング(学生の就活、企業の採用活動)であると解釈できます。

※Society 5.0とは、デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって社会の課題を解決し、価値を創造する社会を意味する言葉です。

インターンシップとアルバイトの違い

インターンシップとアルバイトの違いは目的・内容・給料の3点が挙げられます。

まずは目的。

インターンシップの目的はその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうか(自らがその仕事で通用するかどうか)を見極めること、つまり、仕事適性の見極めにあることはすでにお伝えしている通りです。一方で、アルバイトの目的は何でしょうか? 塾講師になるために塾講師のアルバイトに就く。そんな具合に自身の将来の仕事に繋げる目的でアルバイトに就く人は少数派です。多くの人にとってのアルバイトの目的はお金稼ぎです。

次に内容。

インターンシップ内容は正社員の仕事体験です。正社員の仕事は自分で考えながら取り組む非定型業務の割合が多くなります。そんな正社員の仕事を体験することのできる機会は学生の立場では滅多にありません。ちなみに、実務型インターンシップの場合は正社員の仕事そのものに取り組むことが可能です。対するアルバイト内容はアルバイトの仕事です。一般的にアルバイトの仕事はマニュアル通りに進める定型業務(ルーティンワーク)が多く、だからこそ、個人のスキルや能力への依存度が小さく、高校生や大学生でも即戦力になれます。

最後に給料。

インターンシップでは原則給料が発生しません。しかし、実務型インターンシップのような「企業の業務に取り組むケース」は労働扱いになるので給料が発生します(仕事の難度的にアルバイトよりも高額なケースが多いです)。アルバイトでは給料が発生するのは皆さんご存じの通りです。

さて、ここまでインターンシップとアルバイトの違いを述べてきましたが、両者の違いが最も色濃く表れるのは、やはり仕事内容です。

アルバイトの仕事では、決められたプロセスへのコミット(与えられた作業に真面目に取り組むこと)で評価をされますが、正社員の仕事で評価を勝ち取るには、決められた結果へのコミット(与えられた目標を達成すること)が必要です。

上司から言われたことを淡々とこなすだけで目標達成できるほど正社員の仕事は甘くありません。目標を達成するためには、自身に与えられた裁量(自分の考えで判断や対応をして良いこと)の範囲で、日々の仕事の計画を立て、試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの仕事のやり方=勝ちパターンを見つける必要があります。

この正社員の仕事の難しさやりがいに実感を持ち、自身の仕事適性を見極めるためには、実際に正社員になるか、あるいは、インターンシップに参加するしかありません。

※通常のインターンシップの場合でも、参加費や賞金という形でお金を貰えるケースがあります(企業は優秀な学生を集めるためにお金の力を使ってうわなにをするくぁwせdrtfgyふじこlp……

インターンシップの種類(内容別)

セミナー型インターンシップ

  • 実施時期:7月~2月
  • 実施日数:1Day
  • 待遇:無給
  • プログラム:業界・会社・仕事理解(講義)

セミナー型インターンシップはサマーインターン後期(7月~9月)から秋冬インターン(10月~2月)にかけて実施されるインターンシップです。ワンデー仕事体験プログラムとして実施されるケースが多く、厳密にはインターンシップとは呼べませんが業界・会社・仕事についての知識を得られる貴重な機会であることには変わりません。

短期(1Day)、かつ、選考無しで参加できるものが多いので、色々な業界や会社・仕事を知りたい人、自分のキャリアの可能性を広く考えたい人にお勧めのインターンシップです。

業務体験型インターンシップ

  • 実施時期:7月~2月
  • 実施日数:1Day~3Days
  • 待遇:無給
  • プログラム:業界・会社・仕事理解(講義)+業務体験

業務体験型インターンシップはセミナー型インターンシップと同時期に実施されるインターンシップです。セミナー型インターンシップに営業同行体験や工場体験などの業務体験がセットになったプログラムになります。

セミナー型インターンシップよりも実施日数(や所要時間)が長くなる分、業界・会社・仕事について深く理解できる点にメリットがあります。もちろん、時間の面での拘束がきつくなるデメリットはありますが、セミナー型インターンシップでは物足りない人、興味のある業界や仕事を掘り下げて理解したい人にお勧めのインターンシップです。

プロジェクト型インターンシップ

  • 実施時期:4月~2月
  • 実施日数:3Days~4week
  • 待遇:無給が多いが、有給のケースも有り
  • プログラム:実務体験(グループワーク)

プロジェクト型インターンシップはサマーインターン前期(4月~6月開催)から秋冬インターン(10月~2月開催)に実施されるインターンシップです。新規事業立案や戦略策定、リサーチ、営業、システム開発等の企業の実務に即した課題の解決に取り組むグループワーク形式のプログラムです。

実務を経験するわけではありませんが、プロジェクト型インターンシップは「実務のやりがいや難しさを短期間で実感できる」ように作られているので、自身の仕事適性(向き・不向き)を見極めたい人にお勧めのインターンシップです。

ただ、プロジェクト型インターンシップでは、インターンシップに参加するための選考が課せられるケースが多いので、選考対策をしっかりとしておく必要があります。

実務型インターンシップ

  • 実施時期:ケースバイケース
  • 実施日数:1Month~
  • 待遇:有給
  • プログラム:実務経験

実務型インターンシップは、企業の実務に取り組むインターンシップです。インターンシップの中身は労働そのものなので報酬が発生します。実施時期はケースバイケースですが通年実施のケースが多い傾向があります。

応募には専門知識や特定のスキルが必要であり、かつ、長期間のコミットが要求されます。気軽に応募できるわけではありませんが、志望業界・職種が明確な人にはお勧めのインターンシップです。

選考直結型インターンシップ

  • 実施時期:4月~12月
  • 実施日数:3Days~4week
  • 待遇:無給が多いが、有給のケースも有り
  • プログラム: 実務体験(グループワーク)

選考直結型インターンシップは、文字通り、インターンシップと採用選考が一体となったインターンシップです。経団連の指針を遵守していない企業、かつ、学生からの人気を集める企業(外資系企業、メガベンチャー企業、急成長中のベンチャー企業等)が優秀層の早期採用目的で実施する傾向があります。

インターンシップの中身はプロジェクト型インターンシップとほぼ同じ内容になりますが、本選考の前哨戦として応募する学生が多いため、自分の実力を試したい人にお勧めのインターンシップです。

インターンシップの種類(時期別)

サマーインターンシップ

サマーインターンシップは大学3年生(修士1年生)をメインターゲットに4月~9月の時期に実施するインターンシップを指しています。サマーインターンシップを実施する企業は秋冬のインターンと比べると数が少ないものの、有名人気企業と呼ばれる企業群は勢揃いします。

サマーインターンシップのトレンドとしては大手就活サイトのインターンシップサイトが公開される6月1日を起点に大企業が一斉に募集に動き始める大きな流れがあります。それとは別に外資系企業やベンチャーが4月の早期からサマーインターンの募集に動き出す流れがあります。

サマーインターンシップは選抜的な意味合いが強く、実際、サマーインターンシップに参加・活躍した学生の優遇措置は秋冬のインターンシップよりも大きいと言われています。逆に、秋冬のインターンシップは会社説明の側面があり、誰でも参加できるというハードルの低さから、インターンシップへの参加や活躍によって得られる優遇措置は小さくなる傾向にあります。

また、上記の性質を持つサマーインターンシップには「有名人気企業の優遇措置」を期待して全国各地の優秀学生が集うので、自分の実力を試す良い機会としてサマーインターンに参加する学生も多くいらっしゃいます。実際にインターンにエントリーして、事前選考で落選したり、インターンに取り組む中でライバルとの実力差に打ちのめされる経験を通じて、現状(現時点の自分の実力)と目標(志望業界や志望企業)との差を掴み、本選考に向けてどんな準備をすべきかを考えることができるようになります。

つまり、サマーインターンシップとは受験における模擬試験のような側面があると言っても過言ではありません。

オータムインターンシップ・ウインターインターンシップ

大学3年生(修士1年生)をメインターゲットに秋(9月~11月)の時期に実施されるインターンシップがオータムインターンシップで、冬(12月~2月)の時期に実施されるインターンシップがウインターインターンシップです。

この2つのインターンシップは実施時期が違うだけで、あまり大きな違いはありません。オータムインターンシップとウインターインターンシップを実施する企業は母集団形成(自社に興味を持っている学生を集めること)を目的とすることが一般的です。ゆえに、この時期に開催されるインターンシップはワンデー仕事体験(セミナー型インターンシップ)の割合が多くなります。企業としては短期のインターンの回数を増やすことで母集団をどんどん大きくできるのです。

このような性質を持つオータムインターンシップ・ウインターインターンシップでは、業界・仕事研究のために色々なインターンシップに参加すると良いでしょう。サマーインターンと比べて選抜要素は少ないので事前選考無しに参加できるものも多くあります。

また、インターンシップに参加する学生の増加に伴い、企業側の母集団形成の競争環境は厳しくなっています。企業側としては自社のインターンシップに参加してもらえるようにプログラムの企画に知恵を絞る必要があるということです。参加者側である学生視点では優れた内容のインターンシッププログラムが増えることは大歓迎ですね。

インターンシップ募集情報の探し方

優良企業のインターンシップの募集を見逃したくない。そうは思っていても、気づいたら募集が締め切られていた……そんな後悔をしないためのインターンシップ募集の探し方をご紹介します。

インターンシップ募集の探し方:4~5月

大手就活サイトがインターンシップ募集情報を取り扱うのは6月に入ってからなので、この時期はマイナビやリクナビは使えません。4~5月の早期からインターンシップ募集情報を掲載している就活サイト(ワンキャリアや外資就活ドットコム)を活用することをお勧めします。

ヤフーのリアルタイム検索で「インターン 応募」や「インターン 応募締切」などのキーワード検索をするのも有りです(今どきはTwitterを使った告知も盛んに行われています)。

また、早期に募集を出しそうな企業に当たりをつけて、その企業HPを定期的にチェックするのも有りです。先輩を頼れる方は、この時期にどんな企業のインターンに応募したかを聞いてみるのも良いでしょう。

ちなみに、キャリア支援が整っている大学であればインターンシップ参加で単位取得が可能な「提携プログラム」が用意されている可能性があります。詳しくは自身の大学のキャリアセンターのHPを確認してみてください。

インターンシップ募集の探し方:6月以降

6月からは大手就活サイト群でインターンシップ募集情報の取り扱いが始まります。就活サイト間でインターンシップ募集情報の重複はありますが、特定の就活サイトのみ掲載されているインターンシップ募集情報もあります。それを見逃さないようにする意味でも、大手就活サイトを2~3社活用することをお勧めします。

また、大手就活サイトの動き出しと同期する形で学生のインターンシップ参加の動きが活性化します。友人知人はもちろん、インターンシップ参加時に知り合った仲間同士でインターンシップの募集情報を交換するのもお勧めです。

インターンシップのFAQ(よくある質問)

インターンシップに参加すると選考に有利?

<質問>
インターンシップに参加すると本選考で有利になると聞きました。それは本当でしょうか?

<回答>
セミナー型インターンシップ(ワンデー仕事体験)の場合は参加したからといって特段の優遇はありませんが、それ以外の種類のインターンシップは参加後に何かしらの優遇があることが多いです。

・限定セミナーの案内
・リクルーターからの接触
・早期選考の案内
・序盤の選考免除

など、優遇の内容は様々ですが、どの優遇も大したことがないと言えば、その通りです。

選考に有利になるからという理由だけでインターンシップに参加する必要はないと思います。例外として、自身の志望企業が選考直結型のインターンシップを実施している場合はインターンシップに参加すべきかと思います(インターンシップの活躍度合いによっては、いきなり最終選考に進めるケース、そのまま内定が出るケースもあります)。

また、サマーインターンシップに挑戦することは、自身の実力を知る機会になるので、本番(翌年3月)に向けた就活準備を計画的に進めていく上で有利になると言えます。

インターンシップへの参加は義務なのか?

<質問>
そもそもの話として、インターンシップには絶対に参加すべきなのでしょうか?

<回答>
インターンシップへの参加は自由です。インターンシップが自分のキャリアを考える機会や、自身の仕事適性を評価する機会として優れている事実を踏まえて、参加するかどうかを検討されると良いでしょう。

良いインターンシップの見分け方

<質問>
インターンシップへの参加が有益な機会となるように、できるだけ良いインターンシップに参加したいのですが、インターンシップの良し悪しを見分ける方法はありますか?

<回答>
そうですね、インターンシップのプログラム内容を確認することをお勧めします。プログラム内容が具体的に書かれているインターンシップは企画がよく練られている傾向にあります。

逆に、プログラム内容を読んだ上で「このインターンシップでは何をするんだ?」「私がこのインターンシップに参加するメリットは何だろうか?」と疑問が残る場合は要注意です。

また、インターンシップにはエントリー者が全員参加できるものと、選考通過者のみ参加できるものがあります。後者はインターンシッププログラムのレベルが高い傾向があるのでお勧めです。

インターンシップは大学3年生しか参加できない?

<質問>
私は大学2年生なのですが、インターンシップには参加できないのでしょうか。

<回答>
企業がインターンシップを開催する主たる目的は新卒採用です。ゆえに、翌年度の3月卒業予定の学生が対象となるケースが多く見受けられます。しかしながら、近年は新卒採用の通年採用化の流れを受ける形で、全学年対象、または既卒者も対象にするケースが増えています。

なお、経団連加盟企業については、インターンの募集ページ上で「このインターンシップは就業体験が目的であり、採用選考活動とは関係ありません」といった文言を明記するとともに、大学生全体(卒業年次問わず)を対象としています。

つまり、大学2年生でも参加できるインターンシップはたくさんあるということですね。

インターンシップの応募社数と参加者数

<質問>
みんなどのぐらいの数のインターンシップに応募・参加しているのでしょうか?

<回答>
インターンシップへの応募社数・参加社数は年々増加傾向にあります。

マイナビの調査によると、10月時点のインターンシップへの平均応募社数は7.8社(前年よりも1.9社増加)、平均参加社数は4.5社(前年よりも1.3社増加)となっています。

2022年卒の学生はコロナ禍をきっかけに普及したオンラインインターンに参加した方々です。自宅からオンラインで参加できる利便性が学生の応募・参加を後押ししていると考えられます。

参考:マイナビ 2022年卒 大学生 インターンシップ・就職活動準備実態調査

インターンシップの服装

<質問>
インターンシップの服装って決まりがあるのでしょうか?

<回答>
決まりはあります。

まずはインターンシップ参加が確定した後に届く企業からの案内(メール)を確認しましょう。この案内文の中で服装について記載があるケースが多いのですが、服装についての説明が見当たらない場合は人事担当者に確認しましょう。案内メールに返信する形で質問をすればOKです。そして、人事担当者に質問をした際に「服装自由です」や「特に服装の指定はありません」と言われた場合は、無難にスーツを着用するようにしましょう。

ちなみに、人事担当者に下記のような質問をすれば、ほぼほぼ具体的な回答を得られるので、是非お試しください(内容は適宜編集の上、ご活用ください)。

<質問内容>
インターン当日の服装について私はスーツ着用で参加させていただこうと思うのですがインターンにおける服装として問題はございませんでしょうか? ビジネスカジュアルやカジュアルなどの服装の指定がございます場合は、その旨をご指示いただきたいです。また、その際にビジネスカジュアル(ジャケット着用または襟付きのシャツを着用していれば問題なし)やカジュアル(ポロシャツはOKだがTシャツはNG)など、適切な服装のイメージを共有いただけますと幸いです。

終わりに

インターンシップが開催されている期間中は「インターンシップに行かなくて大丈夫?」「俺、○○社のインターン受かったわw」などの煽りやマウントを目に耳にすることもあろうかと思いますが、人は人、自分は自分。

周りや他人に惑わされずに、自分の考え・意思を尊重してあげてくださいね。

執筆者はこの人!

ジョブ吉
ジョブ吉

就活支援のプロ。自分のキャリアを考える機会を増やすことで“くじ引き”と言われる初職選びで外れくじを減らすことができると信じている派です。Twitterはこちら

公開日 2021-09-05 最終更新日 2023-03-25